【感想・あらすじ・採点】『千と千尋の神隠し』
今日は『千と千尋の神隠し』のあらすじと感想を書いて行きたいも思います。
目次
あらすじ
・千尋とその両親は異世界に迷い込み、両親は豚になる。
・千尋は油屋で働くことになる。
・印鑑の魔力でハクが死んでしまうと思った千尋は、ハクが盗んだ銭婆の印鑑を銭婆に返しに行く。
・銭婆のところにハクは迎えに来てくれており、ハクの背中に乗るとハクは千尋の名前を思い出し、千尋はハクの本名を思い出す。
・千尋は両親を取り戻し、トンネルを抜け元の世界に戻る
感想
①異世界からの脱出、当然の喪失
千尋は異世界に迷い込むことによって、現実世界での日常、両親、名前と言うそれまで当然にあったものを失います。
異世界に迷い込んだ主人公が元の世界に戻るという枠組みを持った物語は多いです。『千と千尋の神隠し』と同じアニメではデジモンやソードアートオンラインなどがあります。また、古くは不思議の国のアリスも同じ枠組みです。
そのメリットは3つあると思います。
・序盤から危機感を持ちやすい
・ストーリーの方向性が見えやすい
・ラストで脱出するだけで地位も財産も結婚もできてないのにハッピーエンドに見える
ストーリーの枠組みが分かりやすいということは、ストーリーが一辺倒になりやすいという事であると思います。そこで重要になってくるのは迷い込んだ世界に住むキャラクターやその世界のルールなどに魅力があるかと言う点になると思います。
②千と千尋と売春
この映画の油屋は売春宿だったと言われています。
その根拠は次のようなものがあります。
・油屋のデザインに類似していること
・赤提灯は世界的には売春を意味する
・湯婆婆の服装が19世紀の西洋の売春宿の女将のものであること
・千尋が本来の名前でなく一種の源氏名とも言える千と言う名前で働いていること
・神様が男の神様ばかりであること
・日本版『プレミア』の2001年6月21日号で宮崎駿監督自身が次のようにインタビューで語っていること
「今の世界として描くには何がいちばんふさわしいかと言えば、それは風俗産業だと思うんですよ。日本はすべて風俗産業みたいな社会になってるじゃないですか」
神様のなのに売春をやるなんて神様の風上にも置けませんね(^_^;)
③アニメのキャラクターも贈り物のセンスが問われる時代(^_^;)
カオナシは千尋から半ば憐みの感情を向けられているのに対し、ハクはめちゃ滅茶苦茶好かれています。
しかし、基本的この二人のアプローチの手法は同じです。プレゼントをあげたり、何かしてあげるというものです。
決定的な違いは千尋のニーズに応えているかだと思います。そして、ニーズに応えられるか否かの違いはリサーチ力の違いからと言えるでしょう。カオナシは一般的に欲しがるだろうと思われるものあげているのに対し、ハクは千尋の身の上を把握し、両親に会わせてあげたりしています。
そして、ハクは宮崎駿監督のニーズにも応えています。ハクは最後の方で竜になって千尋を乗せて飛ぶのです。飛行シーンは宮崎アニメの花形です。ナウシカ、シータとパズー、メイとサツキ、キキ、豚、アシタカという宮崎監督の主人公の中で空を飛んでないのはアシタカくらいですね。しかし、本作の世界観からすると飛行機が登場するは少し違和感があります。そのような状況で、メインキャラクターを変形させて空を飛ばせるということまでする点に、宮崎監督の飛行へのこだわりの強さが伺えます。
④英雄ではなく、成長を描く
ナウシカやシータとパズー、アシタカなどの宮崎駿監督作品の主人公は自分が成長するのではなく、そのカリスマ性を遺憾なく発揮することにより、周りの人間の考え方をかえていくある種の英雄です。
それに対して、『千と千尋の神隠し』や『魔女の宅急便』の千尋やキキは物語の中で成長し、それを観客は見守ります。
最初、「初めて貰った花束がお別れの花束なんて悲しい」と言っていじけていた千尋
が少し大人になって現実世界に戻って行くわけです。
「初めて貰った花束がお別れの花束なんて悲しい」ってちょっと詩人ですよね(^_^;)
採点
10個の項目ごとに〇は1点、△は0.5点、✕は0点で採点していき、最後に合計します。
①時代・場所・世界観に魅力があるか? ・・・〇
働かないと動物になるなど面白い設定が多いです。
②序盤からストリーの方向性は明確か? ・・・〇
異世界からの脱出と両親の救出という点で明確です。
③序盤において視聴者を引き付けるだけの危機感・謎があるか? ・・・〇
両親やそれまでの生活を失くしており、危機感が強いです。
④ストーリー後半に新しい展開があるか? ・・・〇
異世界からの脱出という目的に加えて、ハクを助けるという新しい目標が出来ており、後半に新しい展開があると言えます。
⑤伏線は回収されているか? ・・・△
ハクが千尋のことをあらかじめ知っていたことの伏線は回収されています。
しかし、湯婆婆との契約の内容や、湯婆婆と銭婆の抗争の内容など解釈に任された点もある思います。
⑥結末に説得力はあるか? ・・・✕
名前を思い出したら何故帰れるのかとか、何故豚を見抜けたのかとかは解釈にゆだねられており、説得力があるとは言えないです。
⑦結末に意外性はあるか? ・・・△
結末は初期のお約束通り、元の世界に戻り、両親を取り戻すというものであって意外性は無いかと思います。
しかし、その過程は結構意外性 はあったと思います。一番意外だったとというか拍子抜けだったのは、銭婆がすんなり許してくれたことです。
⑧個々のキャラクターやキャラクター同士の関係性に魅力があるか? ・・・〇
中でもハクの格好の良さは異常です。
⑨登場人物に心の成長はあるか? ・・・〇
あると思います。
⑩総合的に面白かったか? ・・・〇
計8点
おわりに
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
今日はこの辺で(^-^)/