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【感想・あらすじ・採点】『ユリゴコロ』映画

今日は『ユリゴコロ』のあらすじと感想を書いて行きたいも思います。

 

目次

 



主な登場人物

 

美紗子(吉高由里子)
「ユリゴコロ」を殺人に見出し、人を殺し続ける。夫洋介と息子亮介に深い愛情を持つ。

 

洋介(松山ケンイチ)
大学生時代、少年を殺してしまった事に罪悪感を強く持っている。美紗子と結婚後は塾講師となる。

 

亮介(松坂桃李)
山小屋風のレストランを経営し、恋人千絵との結婚を目前だった。美紗子の過去を知り、殺人鬼の息子であることに苦悩する。

 

千絵(清野菜名)
やくざと結婚してしまい、脅されて娼婦になる。逃亡先で亮介と結婚目前だったが失踪する。

 

細谷(木村多江)
千絵の元同僚であり友人。整形手術にて容貌を変えた美紗子だった。


あらすじ

・亮介は、山小屋風レストランを経営しており、千絵と婚約していたが、千絵はある日失踪する。


・亮介の父は末期のすい臓がんで余命は短かった。


・亮介は父である洋介の書斎で、『ユリゴコロ』とタイトルがある少女の半生が記されたノートを発見した。

 

・少女、美紗子は幼い頃、感情がなく、言葉も話さなかった。医師からは感情を持ち、言葉を話すためにはユリゴコロが必要と言われた。


・美紗子は友人を近くの沼へ落とし見殺しにした。殺人により強い感情である「ユリゴコロ」が生まれたという。

 

・中学生になった美紗子は、公園にて少年を事故に見せかけ殺害した。大学生が、溝に落ちた帽子を取ろうとしていた少年を助けようとしており、側溝の重い鉄板を持ち上げていた。そこへ美紗子が助けに入ったことを装い、意図的に鉄板を落とさせ、鉄板が少年の後頭部に落ち少年は死亡させたのだった。


・翌日、レストランに千絵の友人だという女性、細谷が現れた、3日前、千絵と偶然会って亮介に伝言を頼まていた。今は訳あって戻れないという。

 

・さらにノートを読む亮介。高校を卒業した美紗子は調理の専門学校に入り、リストカットを続けるみつ子と出会い、友人となるも、みつ子はリストカットをやめることがでなかった。美紗子は彼女の望み通り、みつ子を殺した。

 

・美紗子はレストランへ就職するも、1年で辞職し、娼婦となる。数か月後、街角で元職場の上司と遭遇し、売春を受け入れる事を装って近づき、鍋で殴り殺した。

 

・千絵の身の上も明らになる。大学卒業後、ある男と結婚したが、やくざである判明したため、離婚しようとしたが、男は離婚に応じず千絵を娼婦にしたという。


・さらにノートを読む亮介。生活費に困っていた美紗子は知的でとても生真面目な性格の男と出会う。男は大学時代に子供を殺してしまったことに深い罪悪感を抱いていた。その子供は美紗子が中学時代、公園で少年を殺害した子供だった。


・美紗子が妊娠していることが分かり、男は自分と結婚し子供を育てようと提案し、そのようになった。田舎に一軒家を購入し、子供も穏やかに成長した。

 

・そんなある日、殺害した元上司の知り合いである男が現れる。その男は美紗子が殺害したことに気づいていた。美紗子は男の誘い応じ、ラブホテルで男を毒殺する。


・数日後、自宅に警察が来てラブホテルで殺害した男の件につき美紗子に質問した。

 

・美紗子は全ての罪ノートに記し自殺することを決意した。

 

・亮介は細谷に連絡し、千絵の居場所を聞くが、細谷は分からないと答える。亮介は車を走らせ東京へ向かう。

 

・翌日、千絵の居場所が判明し、亮介はナイフを持ってヤクザのアパートに行ったが、やくざの事務所にいる者はすでに皆殺しにされていた。亮介は千絵を無事に救出した。


・亮介は、細谷は美紗子であると気づく。

 

・実家に戻った亮介はの父の洋介から、美紗子が自殺を図った夜、洋介美紗子の手記を発見し、改めて自殺させようとダムへ連れていったこと、そして、結局見殺しにすることができず、金と地図を渡し、その場に置いたことなどを知らされた。


・亮介は細谷を呼び出し、問い詰めると、細谷は事情を明かした。


・美紗子は整形手術を受けレストランに就職し、千絵と出会い交流をもっていた。その後、偶然会った千絵から亮介と婚約したと知る。

 

・美紗子は、千絵と息子の幸せのため、千絵を監禁していたヤクザを皆殺しにした。


・亮介は怒りに任せ母親の首を絞めたが、結局殺せず、父親を訪ねるように促す。翌日、美紗子は洋介の元を訪れた。



感想


①盛り上げ要素の無駄遣い

本作は序盤から物語の盛り上げ要素のオンパレードでした。具体的には、婚約者の失踪、父のすい臓ガン、母は殺人鬼という三つです。

 しかし、婚約者の失踪と父のすい臓ガンについては殆ど観客の心を引き付ける要素にはなっていなかったように思います。また、そのように作用させる意図もなかったかのように思います。

まず、婚約者の失踪についてみると、婚約者と主人公との関係性婚約者のキャラクターなどが観客に伝わる前にサラッといなくなっており、かつ、主人公自身が能動的に探すのではなく、婚約者の友人を名乗る者に頼り切って主人公自身は殆ど情報を得ようとしていないのです。「失踪」というアクションが起きると通常、危機感やミステリーが生まれ、物語に観客を引き付ける働きをするのですが、本作ではそのような働きは殆どしていません。

父親のすい臓ガンについても、父親のキャラクターが浸透しきる前に生じているので殆ど感情移入できません。

 父の病や婚約者の失踪はそれだけでも、一つの物語となるほどの重要な要素だと思いますが、本作では殺人鬼である女性の心の変動を円滑に描くための潤滑油程度の扱いあったと思います。

あらすじを読むとかなりドタバタしている印象ですが、実際に映画を見てみると寧ろストーリーが中々進まず、ダラダラした印象さえありました(^_^;)

 

②吉高由里子さんが美人

 吉高由里子さんが兎に角、美人でした。

この点については以上です(^_^)/

 

③リストカットのシーンの痛々しさが凄い

リストカットのシーンの痛々しさというのはかなりのものでした。勿論、爆弾や銃を使って攻撃される方が実際には痛く、死にも直結しているのでしょうが、そう言った痛は自分の日常では感じることのない痛みなので、どれほどの痛みなのか共感するすることが出来ません。しかし、ナイフで手首を切るという痛みは、地味ではありますがリアリティーのある痛みだと言えると思います 。

しかも、このシーンが中々に長いのです(^_^;)

 

④思想も嗜好も技術もない殺人鬼

勿論、この映画のコンセプトは殺人鬼のカリスマ性とは違ったところにあります。

それを踏まえた上でも、本作の殺人鬼美紗子は殺人鬼としてはかなりレベルの低い殺人鬼だったなと思います。

「ユリゴコロ」というワードは面白かったなと思いますが、美紗子には殺人において、特別な嗜好も大義名分も驚くようなトリックや技術もありません。ただ、行き当たりばったりで人を殺しているように見えます。機会があったから人を殺している感じで、人を殺す機会を能動的に作出する努力までは行っていません。

殺人に対する美学がないのです。そこは少し残念な気がしました。

 

⑤コンセプトに踊らされるストーリー

本作のコンセプトは、自己への愛の為に殺人をしていた美紗子が、他者への愛に目覚め、他者の為に殺人をするという事にあると思います。このコンセプトはかなり明確なものである一方で、それを説明する為の他の部分のストーリーがかなり乱暴だったように思います。

 

主人公の父である洋介についてみると、美紗子に人殺しにされた上に、末期ガンでの登場です。

洋介が何故、美紗子に人殺しにされた人物でなければいけなかったのか考えると、美紗子と洋介の強い結びつきを表現する為と、美紗子に他者への愛を生じさせたことを説得的にするためにはそのくらいのインパクトのある相手である必要だと考えたからだと思います。

末期ガンである理由は、これを逃すと美紗子と洋介はもう二度と会えないのだという事を強調し、最後のシーンで美紗子が洋介に会いに行くという決断から図々しさを打ち消すことにあると思います。

洋介の設定に関してはここまですべきだったかは疑問です。

 

主人公の婚約者である千絵に関しては、かなり無理のある人物設定で、ヤクザとは知らずに結婚し、娼婦にされ、見つかって監禁され、主人公の母と前々からたまたま交友関係があるというかなりご都合の良い人物設定になっています。

「他者への愛情に目覚めた美紗子に再び人殺しをさせるには、息子の婚約者がヤクザに監禁されているぐらいの理由がなければ観客は納得しないであろう」と言ったような計算が透けて見えてしまうところが残念な所です。

中年の女性が1人でヤクザを皆殺しにできるか否かは考えてはいけません(^_^;)

 


採点


10個の項目ごとに〇は1点、△は0.5点、✕は0点で採点していき、最後に合計します。


①時代・場所・世界観に魅力があるか? ・・・△

母親が殺人鬼というのは面白かったと思いますが、殺人鬼としての嗜好や思想などのキャラクターに作りこみがあるともっと面白かったと思います。


②序盤から主人公たちへの課題は明確か? ・・・〇

主人公の婚約者を探すという点がメインの課題として明確でした。


③序盤において視聴者を引き付けるだけの危機感・謎があるか? ・・・✕

主人公の婚約者を探すという課題に対して、主人公が殆ど何もしないことや、婚約者のキャラクターが定着しないうちに失踪していることなどから、危機感は発生せず、ダラダラとした印象さえ生まれました。

 
④ストーリー後半で主人公たちへの課題の変更・追加はあるか? ・・・✕

課題の変更・追加はありませんでした。

 
⑤伏線は回収されているか? ・・・〇

美紗子に人殺しにされた学生が、主人公の父の洋介だったなど伏線回収についてはいろいろありました。

 
⑥結末に説得力はあるか? ・・・✕

感想でコンセプトに踊らされたストーリーと表現しましたが、かなり無理のある展開だったと思います。

 
⑦結末に意外性はあるか? ・・・✕ 

ストーリー後半では新しい登場人物は登場しない事と、木村多江さんというメジャーな女優さんが演じている事と考慮すると、細谷の正体が美紗子だったことについては意外性は無かったと思います。


⑧個々のキャラクターやキャラクター同士の関係性に魅力があるか? ・・・△

母親が殺人鬼でありその気質が息子にも多少受け継がれているというのは面白かったと思います。

しかし、千絵や洋介のキャラ設定に無理が生じていることは感想でもかいた通りです。


⑨登場人物に心の成長はあるか? ・・・〇 

美紗子の自己への愛のための殺人が他者への愛のための殺人へと変化する過程が本作のコンセプトであったと言えると思います。

 

⑩個人的に好きな作品か? ・・・✕

リストカットのシーンが気味が悪かったのとストーリーがかなりご都合主義的だったと思います。

 

計4点


おわりに
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

今日はこの辺で(^-^)/