【感想・あらすじ・採点】映画『嫌われ松子の一生』
今日は『嫌われ松子の一生』のあらすじと感想を書いて行きたいも思います。
目次
あらすじ
・恋人に振られた川尻笙は、面識のない伯母の松子が殺されたことを父紀夫から知らされ、遺品の整理などを頼まれる。
・川尻家の長女として生まれた松子は、病弱の妹を心配する父を笑わせるため、ひょっとこのような表情をする癖がある。
・松子は、教師となるが、教え子の龍の窃盗の罪を被り、辞職する。
・作家志望の八女川と同棲するが、八女川は自殺する。
・八女川の友人の岡野の愛人となるが、妻にばれて別れる。
・中洲のソープ嬢となり、ヒモの小野寺に金を使い込まれたために、松子は小野寺を殺す。
・東京に逃亡し、理容師の島津と出会う。
・松子はその後、逮捕され、島津との再会を楽しみに、8年間収監中に美容師の資格を身につける。
・出所した時には島津には妻子がおり、島津を諦める。
・松子は美容室で働き、刑務所で知り合った沢村と再会し親友となる。
・ヤクザとなっていた龍と再会して同棲するも、龍は逮捕される。
・龍は出所するも、迎えに来た松子を突き放す。
・松子は一人で生きることに決め、ゴミまみれのアパートの中で太る。
・光GENJIの熱狂的なファンとなる。
・経営者となっていた沢村と病院で再会し、やり直したかったなら頼りにしてくれと言われ名刺を渡される。
・松子は深夜に河原で遊んでいた子供たちを注意し、バットで殴られて死ぬ。手には沢村の名刺を握り締めていた。
感想
①女性版の『人間失格』
この作品のストーリーは兎に角、太宰治の『人間失格』に類似しているなと思いました。
大雑把な事を言うと、兎に角、異性をとっかえひっかえしているうちにどんどん転落していく人生が描かれています。
また、人物像の設定としても、松子も『人間失格』の主人公である葉蔵も幼い頃に「道化」を演じて周りの人間を和ませることに努めていました。また、両方の物語の主人公の父親はかなり厳格な性格であったことも類似しています。
おまけに、松子の恋人で小説家を目指ししていた八女川という人物は「俺は太宰治の生まれ変わりだ」というような発言もしており、本作の作者が太宰治に対するリスペクトがあったことが伺えます。
不勉強のため、原作の小説は読んでいないのですが、映画の『嫌われ松子の一生』と小説の『人間失格』を比較すると、多少、『嫌われ松子の一生』の方がポップで救いがある作品のような印象がありました。それは勿論、中島哲也監督によるミュージカル調のまとめ方によるものだと思います。
恋人に自殺されて、中洲のソープ嬢になったみたいな下りをまともにやられたら暗くて見てられないものだったと思いますが、ミュージカルにするとかなりテンポも良くなっていましたし、悲壮感もなくなっていたような気がします。
②確かに、太り始めたら一瞬なのは否めない
松子は引きこもりになって一瞬で太ってしまっていました。
確かに、太りだしたら一瞬です。
自分の友達も昨年、10キロの減量に成功していたのですが、結婚が決まった途端、半年で15キロのリバウンドをしていました。
釣った魚にはエサをやらないのでしょうか?幸せ太りというやつなのでしょうか?
自分も学生時代に比べるとかなり太ってしまったのですが、最近、良いダイエット法を見つけたので効果がもう少し出たらシェアしていきたいと思います。
③松子の愛は神の愛とは違うと思う、流石に
龍は松子の愛を神の愛だと発言していますが、なんかちょっと違う気がするのです。
松子は結局、自分を認めてくれる存在が欲しかっただけじゃないですか。それもかなり一方的です。光GENJIに贈った膨大な分量のファンレターが全てを物語っていると思います。結局、松子が好きだったのは自分自身なんだと思います。
採点
10個の項目ごとに〇は1点、△は0.5点、✕は0点で採点していき、最後に合計します。
①時代・場所・世界観に魅力があるか? ・・・〇
感想のところでも書きましたが、この作品は女性版の『人間失格』だと思います。こういった過去の名作の主人公の性別を替えたり、現代風にアレンジして書き直してみようという着想は大変面白いと思います。
②序盤から主人公たちへの課題は明確か? ・・・✕
「松子の一生を振り返る」という課題はあると言えばあるのですが、かなりボヤっとした課題なので✕です。
③序盤において視聴者を引き付けるだけの危機感・謎があるか? ・・・〇
生徒の罪を庇うあたりから結構ノンストップでスリリングな展開だと思います。
④ストーリー後半で主人公たちへの課題の変更・追加はあるか? ・・・✕
そもそも、課題がボヤっとしてるので課題の変更・追加もありません。
⑤伏線は回収されているか? ・・・〇
アパート隣人の証言が伏線となっており、それが後半回収されています。
⑥結末に説得力はあるか? ・・・△
松子の死に方に関してはあのような状況で特に恨みを買っている人間はいない以上、子供たちの遊び半分の犯行によって死んだというのは説得力があったと思います。
ただ、気になったのが唐突に松子の人生を美化し始めた感じでしょうか。特に龍が松子は神だったと言い始めたのに、感想でも書いた通り、違和感を感じました。
⑦結末に意外性はあるか? ・・・△
結末の松子の殺され方については、予測は出来ませんでしたが予測できるタイプのものではないですし、どっちに転んでもいいシーンで、あまり重要なシーンではないようです。
事実、原作、映画、テレビドラマの三つ全てで殺され方は違うようです。
⑧個々のキャラクターやキャラクター同士の関係性に魅力があるか? ・・・〇
かなり松子は面白いキャラクターで、父親がとても心配していたことが最後に分かったのはとても良かったかと思います。
⑨登場人物に心の成長はあるか? ・・・〇
松子自身は何の成長もしていませんが、龍や川尻笙に対し松子は考えるきっかけを作っています。
⑩総合的に面白かったか? ・・・〇
かなり好きな映画の一つです。
計7点
おわりに
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
今日はこの辺で(^-^)/